楠恒男・ジオス会長兼社長
  英会話学校のジオスがこのほど中国本土に初めて進出した。オーストラリアや香港など海外47カ国・地域での語学学校運営ノウハウを引っさげ、世界で高まる 中国語学習熱、中国国内での英語教育の需要に応える。ジオスの創業者で会長兼社長の楠恒男氏は「世界中から生徒を集められるのが強味」と語る。まずは世界 各国からの留学生向けに現地で中国語教室を開き、日本人駐在員、現地の中国人と対象を広げる戦略だ。

――中国で語学学校を始めた

 5月に中国本土では1つ目の語学学校を陝西省西安に開いた。世界中から留学生を招き、中国で中国語を教える。本格的な生徒の募集は9月に 始める。世界47カ国・地域にあるジオスのオフィスで募集し、まずは生徒数100人程度を目指す。日本人に限らず、さまざまな国から集まる学生たちと交流 しながら勉強できることがジオスの特長だ。

――地元の大学と合併会社を設立した

 学生数4万人を超える大規模な総合大学である長安大学との合弁会社という形式を取った。大学の空き教室など既存の設備を使えるので初期投資を抑えることができる。大学の付属語学学校という位置づけで、キャンパスを共用できるので中国での学生生活を実感してもらいやすい。

 西安を選んだのは大学が多く集まり、中国の中でも教育都市という位置づけだから。古都でもあり、勉学に励むのに向いた落ち着いた雰囲気が ある。物価も上海や北京より安く、ロンドンに1カ月留学するのに比べ、約3分の1の費用で済む。講師の人件費も大都市と比べて抑えることができる。

長安大学
――ほかの都市に進出する計画は

 上海、北京では日本人駐在員向けの中国語教室を開く予定だ。できるだけ早い時期に進出したい。既に教室を開いている香港では駐在員とその 家族を中心に生徒数が増えている。ジオスという名前が安心感を与えているようだ。広東語、北京語以外に英語も教えている。日本人の多い大連や深センなどに も順次進出していきたい。

――中国人向けに英語の教室を開設する予定は

 香港では日本人以外にも英語を教え始めた。中国本土でも、英語学習熱が高まっており、習い事に十分なお金をかける教育熱心な地元の富裕層も増えている。現地でスタッフが十分に育てば、早いうちに英語クラスも開きたい。

――海外での教育事業には規制などの課題も多い

 これまで海外では50校を設立したが、語学学校は教育に関わることなので、国や地域ごとに規制の影響を受ける。オーストラリアでは海外か らの旅行客を呼ぶということで学校設立に補助金まで出るが、米国では新たな学校の設立は難しい。タイでは授業料を自由に決められないなど国によって状況は さまざまだ。

  海外で教室を立ち上げる際は現地の語学学校を買収し、施設やスタッフを活用する場合も多いが、国によっては買収が難しいこともある。 西安の場合は規制な どの関係で、日本法人が直接出資するのは難しかった。合弁には韓国の100%子会社が6割、長安大学が4割を出資することで落ち着いた。

 当初は中国本土でも地元の語学学校を買収しようとしていた。交渉の最終段階で買収価格が折り合わずに破談になったが、値決めのプロセスなどで商習慣の違いを痛感した。ただ、今後進出する拠点では、迅速に進出することのできる買収方式を引き続き検討していきたい。


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