古田正信専務 |
――中国の出店の方針は
来年度には上海や北京に出店したい。2005年度のアジアでの売り上げは全体で約40億円。そのうち、香港がほとんどの割合を占めてお り、33億円ほど売り上げている。2005年7月、上海の南京西路に出店したが、まだ1店舗。中国本土ではうまくいけば、3年で6店舗ほど展開し、売り上 げ20億円を目指したい。
上海では、目抜き通りの賃料が日本の銀座や青山に匹敵するほど高騰しているため、それに見合う売り上げが取れるかという問題はある。しかし、出店時にかかる費用は1平米あたり3万円程度で、大規模な設備投資が必要なわけではない。積極的に出ていきたい。
上海の南京西路の店舗 |
特に検討していない。欧州向けでは規制や生活習慣の違いが大きいため、一部別の製品を販売しているが、アジアでは同一の商品を販売する。 香港や台湾の商品の売れ行きを見ていると、日本に比べて衣料品や食品の比重が高いようだ。売り上げの半分くらいは衣料品が占めている。日本では食品の売り 上げは全体の5、6%にとどまるが、香港や台湾では10%以上。特に菓子が人気で、日本の味が受けている。
――中国製の製品はどれくらいの割合を占めるか
衣料品では9割以上が中国製。家具やキッチン周りの製品、アクリルを成型した製品など中国で生産しているものが圧倒的に多い。壁掛けのCDや小型のラジオなどの家電から布製品にいたるまで、中国では多岐にわたる製品を作っている。
90年代から中国での生産を始めた。良品計画の品質管理部隊が直接工場を開拓することもあれば、商社に委託している商品もある。工場で は、「土足禁止」「ワゴンは清潔に保つ」など、いちから厳しく管理している。日本の企業は要求水準が高いため、工場の見極めが重要だ。納期を守るか、仕様 通りに作れるか、チェックを続けている。
――コストを削減するために中国は原材料と生産との両面で重要な役割を果たしている
従来、使用していた日本産の原材料を見直し、中国産に切り替えた。日本産の原材料でなければ製品の質を保てない場合は、原材料を中国に持 ち込んで生産するように改めている。各店舗別に製品を仕分ける作業も、日本ではなく、人件費が10分の1に抑えられる中国で済ませるようにした。
2003年に新型肺炎(SARS)が流行したときは、日本から中国へ出張できず、まったく生産管理をできなかった。具体的な被害はなかったものの、生産拠点に出向けないリスクを認識した。
そのため、最近はインドなど南方にも生産拠点を移していく考えはある。食品を調達する子会社「ムジグローバルソーシング」も中国ではなくシンガポールで2006年5月、立ち上げた。脱中国というよりは、地球大で事業を多角化していきたい。
――中国に日本人スタッフを常駐させているのか
日本人スタッフの経費は高く、今は出張で対応している状況だ。ただ、2007年には生産管理のための事務所を設けるかもしれない。青島か上海あたりに子会社を設立するかどうか、検討しているところだ。
上海店でも「MUJI」のロゴは共通 |
中国にはエンジ色の地にロゴを配し、無印良品と同じ看板を掲げて営業している店がある。堂々と「無印良品」の商標を登録しており、良品計 画が提訴した。中級審で勝ち、上級審を見守っているところだ。まねをされないブランドというのもあまり価値がなく、痛し痒しといったところではある。知的 財産制度に関しては、今後とも、中国政府の国際基準に沿った施策を期待している。
ブランドに関しては、生産委託した工場に、不良品の受け取りを拒否したときの問題もある。工場がそれを横流ししてしまうと、「無印良品」のタグのついた不良品が出回ってしまう。取引先などと築いたネットワークで情報をつかみ、委託する工場を取捨選択していくことになる。
http://www.nikkei.co.jp/china/interview/20070213cda2d000_13.html
>> 古田正信さん略歴
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