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前 3 ヵ年計画について
資生堂では、前田新造が社長に就任した 2005 年、「100%お客さま志向の会社に生まれ
変わる」、「ブランドを磨きなおす」、「魅力ある人で組織を埋め尽くす」という 3 つの経営ビジョンを掲げました。前 3 ヵ年計画(2005 年度~07 年度)においては、国内では、メガブランドに代表されるブランド革新、ビューティーコンサルタント(BC)の販売ノルマの撤廃、取引制度・営業体制・生産物流体制の再編、企業内大学「エコール資生堂」による人材育成の体系化などを、一方海外においては、中国を中心とした売上の拡大、不採算事業の整理、北米構造改革などを推進してきました。
その結果、前 3 ヵ年でコミットメントした「最終年度の営業利益率 8%以上」についても、達
成できる見込み(※1)です。(※1)07 年度の最終的な実績は、決算発表時に確定します。
今後 10 年間のロードマップ
前 3 ヵ年を経て、資生堂は、世界市場で競合他社と互して戦うスタートラインに就くことがで
きたと考えていますが、新 3 ヵ年以降は「日本をオリジンとし、アジアを代表するグローバルプ
レイヤー」を目指していきます。向こう 10 年を
① 2008 年度~10 年度: 「全ての質を高める」
② 2011 年度~13 年度: 「成長軌道に乗る」
③ 2014 年度以降: 「躍進を果たす」
という 3 つのフェーズに分け、10 年後には「売上規模では 1 兆円を優に超え、その半分以上を海外で獲得し、少なくとも ROE で 15%以上、営業利益率で 12%以上をコンスタントに確保できる会社」を目指します。
そのために越えるべきハードルとしては、①「世界中の市場で成長性を高め、少なくとも世
界の化粧品市場の成長率を上回ること」、②「グローバルコンペティターに匹敵する『営業利益率』をきちんと出し続ける経営体質に変革すること」が挙げられます。加えて、③「一人ひとりのお客さまの『最高の美しさ』を実現し、『心』まで豊かにすること」という、資生堂のレゾンデートル(存在理由)を愚直なまでに希求することにより実現していきます。レゾンデートルを支える当社の具体的な強みは、以下の 3 点です。
① リッチ: モノやサービスの質の高さを細部にわたって徹底してこだわり実現していること。
② ヒューマンサイエンス: 研究開発分野において、肌表面を美しくすることだけでなく、ヒトの心にいかに働きかけるかまでを探求していること。
③ おもてなし: ヒトやモノを介した触れ合いを通じ、心までも豊かに導いていくこと。
新 3 ヵ年計画について新 3 ヵ年(2008 年度~10 年度)では、「成長性の拡大と収益性の向上の両立」(前 3 ヵ年から継続)に加え、「グローバル化」、「峻別と集中」、「社外の知恵とリソースの活用」をキーワードに、次のような点に取組んでいきます。
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1.「“世界中のお客さまに愛されるブランド”を創りあげる」
① グローバル SHISEIDO ブランドの育成強化
資生堂ブランドトータルとして強みを発揮できるよう、ラインを順次集約し、商品体系を刷新
します。具体的なマーケティング手法としては「シティーコンセプト」(※2)を導入するほか、中国、ロシア以外の新興市場についても、将来に向けた事業モデルの構築に取組み、持続的な成長確保とシェア拡大を図ります。(※2)広大な世界市場を、面(国)単位ではなく、点(都市)単位で捉え、都市ごとに集中的に投資をする手法。
② アジアでの圧倒的な存在確立に向けて
メガブランドのアジア全域での展開など、マステージマーケティング(※3)の展開を開始し、
ノウハウを蓄積した上で、次期 3 ヵ年(2011 年度~13 年度)から本格的に展開します。そのための商品は、新設予定の生産子会社「資生堂ベトナム」(09 年 10 月竣工、12 月稼動予定)
で生産します。中国事業では、オプレ(中国専用ブランド)の 14 年ぶりのイノベーションや、化粧品専門店ビジネスの拡大などにより更なる成長を図り、年平均 20%程度の高伸長を持続します。(※3)「マス」と「プレステージ」の造語。「通常のマス商品よりは値は張るが、プレステージ商品に比べるとかなり値ごろ感がある」位置づけ。
前 3 ヵ年の国内市場においては、資生堂の変革や魅力を強烈に訴求すべく、大規模プロ
モーションで販売を行なうメガブランド戦略をブランド戦略の柱に据えました。新 3 ヵ年では、満を持してリレーショナルブランド(※4)に注力していきます。これは、資生堂が得意とする、お客さまとの強い絆作りをベースに展開する領域であり、強みを存分に発揮することにより、No.1 ポジションを磐石なものにしていきます。(※4)人を介したカウンセリングを通じて、お客さまとの関係性を深めていくブランド群。
これまで 27 に集約した育成ブランド数は、今後は 6 つのメガブランド、5 つのリレーショナルブランドを含め 21 にまで絞り込みます。国内営業においては、営業担当の販売高予算を撤
廃し、プロセスを重視していきます。販売高予算に代わる評価指標としては、「来店客数」や
「再来店率」、「取引先へのアンケート」などを新たに導入し、既に前 3 ヵ年から販売ノルマを廃している BC とともに、「100%お客さま志向」の徹底を図ります。
③ 資生堂グループの価値向上に向けた基盤強化
136 年の歴史で培われた当社の強みである「おもてなし」道とも言える暗黙知を「SHISEIDO
BEAUTY WAY」として体系化し、既に国内に導入し成果を挙げている「応対ソフト」とあわせて、世界規模で展開していきます。また、研究開発面においては、当社の強みであるスキンケア究を強化すると同時に、トータルソリューションの実現に向け、H&BC(ヘルス&ビューティーケア)、や美容皮膚医療、セラピーメーキャップなどの新領域にも注力します。同時に、今後は自前主義にこだわらずに、アライアンスやオープンイノベーションなども積極的に進め、社内外の知恵を結集し、美しい肌の実現はもちろん、心まで豊かにする研究を強めていきます。生産体制の整備もグローバルに推進していきます。具体的には、アセアンには初めてとなる生産子会社をベトナムに設立するとともに、ニュージーランド工場は閉鎖するほか、戦略的アウトソーシングの活用も進め、今後とも最適なグローバル生産体制を確立していきます。
2.「世界に通用する質の高い経営品質を確立する」
① グローバル人材の育成
グローバル化の加速に伴ない、グローバルに通用する人材の育成も重要性を増していま
す。07 年からはスイスのビジネススクールに幹部候補生を派遣して将来のトップマネジメント
を養成しているほか、日本以外では初めてとなる研修センターを上海に設立、将来的には中
国だけではなくアジア全域の教育拠点とします。
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② 組織能力の向上
本社コーポレート部門の機能や業務を棚卸し、戦略機能および事業部門へのサポート体
制を強化します。初年度から導入する SAP を軸に、業務標準化や外部リソースの活用などに
よって、専門性と生産性を高め、筋肉質な戦略本社へと転換していきます。
③ ガバナンス体制進化
前 3 ヵ年では、社外取締役の導入、執行役員の少数精鋭化と若返りなどを図ってきました
が、今後もダイバーシティーの推進などの体制強化を継続的に行なっていきます。
④ 構造改革
収益性が低く、全体へのシナジーや将来の成長が見込めない事業やブランドは、今後も整
理・撤退をしていきます。また、国内外で品種数を約 3 割絞ることにより、マーケティング効率をさらに高め、コスト低減に繋げていきます。
⑤ CSR への積極的取組み
あざや白斑など、現代の医療では解決できない肌悩みをお持ちの方に対し、化粧を通じて
美しくなることで QOL(生活の質)を向上し、心まで元気になっていただく「ソーシャルビューティーケア活動」をさらに拡大していきます。今 3 ヵ年のうちに、国内での更なる充実はもとより、中国を皮切りに海外展開も開始します。
環境活動は、グローバル企業の一員、また地球市民の一員として重要な責任の一つと認
識しています。07 年には米国生産子会社(SAI)に太陽光パネルを設置、08 年からは、中国の甘粛(かんしゅく)省蘭州市において植林活動に協力を開始するなど、積極的に推進していきます。社員からは「エコアイデア」と称した公募を行ない、社員全員が、環境問題を自分自身の問題として捉え、それを全社的なムーブメントとしていくよう、検討を進めています。
3.「国、組織を越えた資生堂グループの“結束力”を高める」2005 年、資生堂はコーポレートメッセージ「一瞬も 一生も 美しく」を策定しました。このメッセージに込められた「その瞬間の美しさだけではなく、心まで豊かに感じていただく積み重ねによって、人生そのものまでが美しくなっていく」という資生堂の想いは、「単に商品を売るのみではなく、むしろその先にある、一人ひとりのお客さまの美しさと心の豊かさを実現すること」という当社のレゾンデートルそのものです。
今後とも、このコーポレートメッセージを、国内外の資生堂グループ社員が共有するスロー
ガンと位置づけ、グループの象徴である「花椿マーク」のもと、「100%お客さま志向」の活動に徹していきます。
具体的数値目標
新 3 ヵ年計画の最終年度までに、営業利益率は 10%以上、ROE は「営業利益率+1~2
ポイントの水準」を目指します。売上高は、年平均 4~5%成長、海外売上比率は 40%以上と
することを目指します。
株主還元については、前 3 ヵ年からの基本方針である「総還元性向を中期的に 60%」を継
続します。現金配当を主体としながら、機動的な自己株取得・消却を行なっていきます。
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