タラップからホステル(ホテル)の本体後部を見る (写真:武藤 聖一)


武藤聖一の欧州「最新建築」撮り歩記


2009/01/30

 ボーイング747-200型といえば、一時代をリードしてきたジャンボ旅客機である。昨秋、ストックホルムのアルランダ空港に出かけるたびに、そのジャ ンボ機が滑走路を外れて変なところに駐機していた。不思議に思い空港管理局に問い合わせてみたら、ホテルに改装中ということだった。2週間ほど前に日本へ 帰国していた折に、テレビで“アルランダ空港に世界初となるジャンボジェットを改装したホテルがオープン”というニュースが流れたのを見た。スウェーデン に戻った一昨日、撮影取材にこぎつけたというわけである。


Jumbo Hostel
操縦席をツインベッドにしたスイートルーム (写真:武藤 聖一)

 この747は1976年にシンガポール航空のために製造された。その後、今では社名を記憶している人は少なくなったであろうパンナム機として、さ らにスウェーデンの旅行会社のチャーター機として約四半世紀の間、世界を飛び続けてきた。機体そのものは、使い古されれば解体されるのが常とうの運命だろ う。しかし、このチャンスを見逃さなかった人がいる。起業家のオスカー・ディオス(Oskar Dios)氏である。

 「長年アルランダ空港にユースホステルを開業したいと思っていた。他の誰もが出来ないような変わったスタイルの施設はないものかと思案中に、旅行 会社倒産のニュースが飛び込んできた。……そうだ、所有するジャンボ機を宿泊施設にできたら、というヒラメキから、旅行会社との半年間の論議の末、手にし たのがこのジャンボだ」と語る。


ホステルのオーナーキャプテンであるオスカー・ディオス氏 (写真:武藤 聖一)

 内装デザインは建築家、ダニエル・モンセン(Daniel Monsen)が手掛けた。トータル350m2の機内は、450席すべてのいすを取り払い、コックピットスイート1室を含む25室、全72ベッドの「ジャ ンボホステル」(ホテル)へコンバートすることに成功した。

 何度も同型の飛行機に乗ったことはあるのだが、下から見上げるジャンボのボリューム感には圧倒させられる。タラップはまだ完全に整備されてないようだ。キャビンドアから入ると、靴を脱ぐようになっていて、スリッパが用意してある。


ジャンボ機の迫力あるボリューム感を体験できる (写真:武藤 聖一)

 正面にレセプションがあり、スチュワーデスの制服を着たレセプショニストが迎えてくれる。後部にスナックやサンドイッチなどを陳列する什器(じゅ うき)がある。左トップのファーストクラスだったスペースはカフェになった。オレンジ色のテーブルセットがあり、窓際ではキャビンの雰囲気を満喫できそう だ。


タラップを上がった正面にあるレセプション (写真:武藤 聖一)

ホステルのロゴサインと雑誌のテーブル (写真:武藤 聖一)

1階の先端はカフェに変身している (写真:武藤 聖一)

キャビンの雰囲気を残す窓際のテーブルといす (写真:武藤 聖一)

◆next:シャワー・トイレもある機内

 

 狭いらせん階段を上がった2階にはスイートルームと会議室がある。操縦桿を挟んでのツイン式のベッドだが、計器類がほとんど残らず除かれているので、多少もの足りない感じもする。それでも、世界で一つしかないベッドでのオーバーナイトは貴重な経験となること請け合いだ。

Jumbo Hostel
コックピットからはパイロットの視界が楽しめそうだ (写真:武藤 聖一)

計器類がほとんど取り外されているのは少しさみしい (写真:武藤 聖一)

スイートルームにだけ専用のシャワールームが設置されている (写真:武藤 聖一)

 黒い革張りのリクライニングチェアを両側に4席ずつ配した会議室は、宿泊客でない外部からの使用を見込み、予約が順調ということだ。


2階は特別の会議室になっている (写真:武藤 聖一)

黒い革張りのリクライニング席。ひじ掛けにはメモ用紙が置いてある (写真:武藤 聖一)

 レセプションから右の、かつてビジネス、エコノミー両クラスがあった機体中央部は、コリドーが奥に延びている。両側は2~4人用の2段ベッドの客室だ。トイレや洗面所などは共用となり、随所に配置されている。


客室は中央のコリドー(廊下)の両側に配されている。従業員はスチュワーデス調のユニホーム (写真:武藤 聖一)

客室は船室と同じように2段ベッドになっている (写真:武藤 聖一)

客室のベッド (写真:武藤 聖一)

収納庫は切り分けてそのまま使用している (写真:武藤 聖一)

ブルーのラインに部屋番号が鮮やかにデザインされている (写真:武藤 聖一)

コリドーにある共同のシャワールーム (写真:武藤 聖一)

 ジャンボ機の改装には、結婚式やコンファレンス会場、子供連れファミリー宿泊用の小さな遊戯施設など、多様なアイデアがありニーズが期待されているという。

 ストックホルムの港には半世紀ほど前から、帆船を利用したユースホステル“チャップマン”がある。人気を保ち一昨年にはモダンに改装されたという例もある。ジャンボホステルは、もの珍しさがビジネスの幸運とつながるのか、これからが注目されるところだ。

名称:Jumbo Hostel
設計:Monsen Arkitektur AB/ Daniel Monsen
住所:Jumbovagen 4, 19047 Stockholm Arlanda, Sweden

(前のページから続く)


職場見学に訪れたホテルスクールの学生達にストーリーを話すオスカー・ディオス(Oskar Dios)氏 (写真:武藤 聖一)

片側4人の会議室。席は機内最高の雰囲気を保っている (写真:武藤 聖一)

リクライニング席 (写真:武藤 聖一)

身体障害者用に広いスペースにしてあるトイレ (写真:武藤 聖一)

最後部は共同の洗面所になっている (写真:武藤 聖一)

4本の柱で機体後部を補強している (写真:武藤 聖一)

見学者をガイドするシーン (写真:武藤 聖一)

武藤 聖一=フォトジャーナリストケンプラッツ

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