【産経抄】6月19日

2008.6.19 02:08
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 「売国奴」と決めつけられて、怒りをあらわにしない人はいないだろう。まして、常に国のために尽くしてきたという自負があれば、なおさらのことだ。

  ▼台北駐日経済文化代表処の代表を務めてきた許世楷(コーセーカイ)氏が、辞意を表明して認められた。「志ある者は殺されても、辱めは受けない」との言葉 を残して。与党・中国国民党の立法委員(国会議員)が「台奸(台湾の売国奴)」と誹謗(ひぼう)したことに抗議したものだ。


 ▼許氏は日本 留学中、盧千恵(ローチエンフイ)夫人とともに、台湾独立運動にかかわったことで、33年間帰国できなかった経験をもつ。「駐日大使」として、再び日本で 過ごしたこの4年間は、過去最良といわれる日台関係を演出した。台湾でのアンケートで、日本が「尊敬する国」で1位になったと、盧千恵夫人が著書で紹介し たほどだ。

 ▼それだけに、退任間近になって、尖閣諸島沖で起きた衝突事件の衝撃は大きかったはずだ。それにしても、今回、台湾側の強硬姿 勢は度が過ぎている。行政院長(首相)が「開戦の可能性を排除しない」と発言し、一時は軍艦の派遣も取りざたされた。やはり、尖閣諸島の日本領有を認めな い中国との共闘を模索する動きもあるらしい。


 ▼実は評論家の鳥居民氏が、今年3月の「正論」で、事件を“予言”していた。「中国共産党は尖閣諸島を利用して、日本と台湾のあいだに不和を起こさせ、台湾に反日感情の火種をつくり、それを大火にしたいと願うだろう」と。


 ▼「台湾と中国をきちんと区別してほしい」と日本で訴え続けた許氏もまた、事件の背後に、何かがうごめいていると、気づいたのかもしれない。だから政府に「冷静な対応」を訴えた。それを非難する議員こそ、台湾を危うくする者だと。



http://sankei.jp.msn.com/world/china/080619/chn0806190210001-n1.htm
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