――中国で日本式カレーを広めている

 中国市場向けに家庭用固形カレーを今春売り出す。中国版「バーモントカレー」とでも言えるような看板ブランドに育てたい。中国で専用ブランドの固形カレーを展開するのは初めてだ。上海で今春、固形カレー工場が稼動する。

 中国人向けに色や香りをアレンジした。今までは日本の味を持ち込んでいた。具体的には(中国人のもつカレーのイメージである)黄色を強くした。価格は比較的余裕のある家庭向けにアピールする水準に抑えたい。

 まず上海で売り出す。その後は北京、広州といった地域に段階的に広げていく。スーパーやコンビニエンスストアが主な販路となる。味の素、三菱商事と2004年1月、共同出資の合弁会社を設立しており、両社が持つ販路に期待している。

 日本式カレーライスの認知度を高めたい。店頭での試食販売に力を入れる。テレビCMも展開する。

――日本の競合他社も中国に進出してくる

 エスビー食品が中国で工場を建設しているそうだ。「ボンカレー」の大塚食品も2月にレトルトカレーを売り出すという。いよいよ日本の食品メーカー同士の競争が本格化する。ブランド作りが中国での生き残りのカギになる。

上海市西部の中山公園近くにオープンした1号店

――カレーレストランの1号店を上海にオープンした

 香港と北京にも出店する。できるだけ早い時期を考えている。香港では商業ビル内に店を構えたい。北京では路面店にする。

 香港は家賃が高いが、客単価を上げてでも店を出したい。北京はレトルトカレーの売れ行きがよい地域だ。3食ともご飯を食べる習慣がある。 中国では地域で食生活がずいぶん異なる。上海の人はご飯だけでなく麺やマントウ(中華まんじゅう)も主食にしている。ご飯食が主流という意味では、北京は 上海よりも有望だ。

 上海での出店は、立地戦略を見直した上で加速したい。2004年に出店した上海1号店は、パートナーである壱番屋と共同で、学生の多い 中山公園の近くに出店した。しかし、3号店は大通りに面した一等地に開く。5号店までの反応を見極めて、6店目以降は出店をペースを上げる。

 中国人に店を任せる格好でのフランチャイズ展開も考えている。既に1号店の店長には、日本のカレーハウス「CoCo壱番屋」で働いた経験のある中国人を起用した。

上海1号店で使っているメニュー。現在のサイドディッシュはサラダなどに限られている

――上海での集客を強化する

 新たにカレーライスの割引券を配布し始める。課題となっている昼時の売り上げを伸ばすのが狙いだ。

 カレーライス以外のメニューとして、鳥の唐揚げなどを売り出す。餃子(ギョーザ)もヒットしそうだ。カレー以外のサイドディッシュを追加することによって、カレーを食べられない人も入りやすくする。

 カレーが苦手な人に配慮するのは、ちょっと奇妙に見えるかもしれない。しかし、中国では集団で外食するケースが多い。大勢で店を選ぶとき に、カレーを食べられない人が一人でもいると、うちの店を選んでもらえないということが起きかねない。カレー以外の料理を用意しておけば、大事な集団客を 逃さないで済む。

――1号店の売り上げ目標は月400万円だ

 平日は当初の目標に達していない。平日昼の客入りが期待よりも少ないせいだ。休日は目標に達している日もある。

 来店者に占める中国人比率が低い。壱番屋と組んで進出する前に当社が上海に出していたカレー店と比べると、今の店の方が中国人比率が低い。もっと地元の人を取り込みたい。現在の中国人と日本人の比率は6対4だ。

――1号店の来客層は

 20代の若いカップルと、30―40代の家族連れが多い。グループ客の割合が高いので、全68席のうち58席を、グループで座れるテーブ ル席にしている。日本の「CoCo壱番屋」では一人客が多いため、カウンター席が中心だ。中国ではメニューでも内装でもグループ客のことをまず考えなけれ ばならない。

味の素と共同で販売しているレトルトカレー「ウェイ・ドゥ・ドゥ」

――家庭向けでは固形よりもレトルトのカレーが先行している

 今後は、当社の柱である固形カレー事業にも力を入れていく。中国は日本に比べて自炊の割合が低いが、きちんと定着させていきたい。カレー レストラン事業は日本流のカレー食を広めるための手段の一つという意味合いもある。カレー食の認知度を高めて、中国家庭でのカレー食を日本のように人気の ある献立にしていきたい。

 味の素と共同で展開してきたレトルトカレーは既に浸透しつつある。2004年末に商品アイテムを増やして9種類にした。ハヤシライスも追加した。今後、さらにメニューを増やしたい。固形、レトルト、レストランの「三位一体」で相乗効果を高めていく戦略だ。

(聞き手は村尾龍雄・弁護士法人キャスト糸賀代表)



http://www.nikkei.co.jp/china/interview/20050220cd82k000_20.html
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