――中国でインターネット調査を始めた

 中国で16万人の調査モニターを抱えるエー・アイ・ピー(AIP、東京・千代田区)を子会社化し、事業展開の基礎を整えたばかり。AIPが中国事業を始めたのは1998年。経験やノウハウ蓄積で他社より抜きん出ている。

インターネット調査は低コストが魅力で、日本では全調査手法の2割を占めるまでに成長している。マクロミルは日本企業1900社を顧客として抱えており、中国市場の分析の必要性を訴えていきたい。

――中国展開で情報システムも改良中とか

 マクロミルの強みは、アンケートの自動集計など情報システムによるところが大きい。本格的な中国を中心としたアジア展開にあわせて、多言 語モニター管理システムの構築の作業に入った。年内には日本、中国、韓国、台湾、香港、シンガポールの主要6カ国・地域に対応する「アジアのワンストップ サービス」を実現したい。

中国語のネット調査票画面の例
――中国ビジネスの成長をどのように見通す

 2004年度の、中国の市場調査ビジネス規模は年400億円ほど。ただ、インターネットを利用した手法はいまだ全体の1%未満に過ぎない と考えており、今後、爆発的に伸びるはずだ。マクロミルの中国ビジネスも2006年6月末(予想)では1億円弱だが、今後高い成長率が期待できる。

――調査モニターはさらに増やすのか

 モニターは多すぎても少なすぎてもダメ。少ないと、同じ人に頻繁にアンケートの回答をお願いすることになり疲弊する。逆に多いと、1人あたりの依頼数が減り、反応が悪くなる。近い将来20万人までは視野に入っているが、その後は状況を見ながら判断していくことになる。

――中国調査で工夫すべきポイントは

 現地スタッフはこれまで中国人だけだったが、日本企業の調査依頼に精緻(せいち)に対応するため、4月からは日本人も常駐している。

――料金体系は

 中国のオンライン調査の受注単価は、平均すると約40万円。「女性のみ」「化粧品を週3回以上使う人」「特定のブランド商品を持っている人」などモニターを絞り込んだり、質問項目の数によっても料金は変わってくる。

――インターネット以外の調査手法は検討しないのか

 当然、インターネットだけでは完結しない調査もあるだろう。その場合、モニターを会議室に集めてる形式のグループインタビューなども実施経験がある。中国の現地調査会社と提携しており、今後も様々な可能性を検討したい。

(聞き手は村尾龍雄・弁護士法人キャスト糸賀代表)



<記者の目>

中国の調査モニターから送られてきた冷蔵庫の写真(30代会社員)
 「中国の家庭の冷蔵庫には食材がぎっしり。冷凍食品も普及がすすんでいる」

 マクロミルは今年1月、中国、韓国、台湾の一般家庭の食卓についてインターネット調査に取り組んだ。モニターに、冷蔵庫の中身と食事のデジカメ撮影を指示。メールで送ってもらい分析した。

 驚いたのは、そのスピード。マクロミルの見積もりによると、300の家庭を分析してもわずか2週間で掌握し、リポートに仕立て上げられるという。しかも、生々しい写真付き。インターネット調査の可能性を感じさせた。

  調査会社などで構成する団体「インタラクティブ・マーケティング&リサーチ研究所(IMRJ)」によると、日本のインターネット調査ビジネス市場は、 2005年3月時点で240億円。「市場は急拡大し、2007年には電話や郵送などの調査手法を追い抜く」と推定されている。中国での普及も間違いないだ ろう。

 ただ競争は厳しい。日本では、ヤフーや楽天なども事業に参入済み。納期の短縮から料金値下げまで、企業体力を削る時代に突入しそうだ。未開の地である中国に楔(くさび)を打ち込み、さらなる成長を模索できるか――。マクロミルの挑戦を見守りたい。

(インターネット総部 重森泰平)

http://www.nikkei.co.jp/china/interview/20060405cd945000_05.html
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