――中国市場で個人消費者を狙っていく

 今秋、中国国内でサバの水煮、秋刀魚の蒲焼などの缶詰を生産し、売り出す計画だ。上海の販売子会社マルハ上海貿易を通じて販売する。価格 は小売段階で、1個8元(約112円、1元=約14円)程度を予定している。日本で中国の消費者の味覚にあった製品を開発し、現地で生産する。高級スー パーなどでは現在、輸入品が20―25元(約280―350円)程度で売られている。現地生産で価格を抑えれば、需要はさらに拡大すると判断した。06年 度の売り上げは1億円を目指し、5年後には売り上げ10億円を達成したい。

 

中国で製造している商品
──なぜ、缶詰なのか

 常温で取り扱えるからだ。中国には流通という概念があまりなく、在庫管理の習慣も乏しい。日本向けに生産している冷凍食品は多く、中国国 内でも本格的に販売しようと考えた時期もあったが、流通網が未整備で断念した。消費者も冷凍食品にはまだなじみが薄く、常温の商品から加工食品へ慣れて いってもらえればと考えている。

 常温で取り扱いやすいという点では、レトルトパウチ製品等の商品化も検討している。日系の他社が先行しており、共働き世帯に簡便で栄養価の高い加工食品を食べてもらうという需要を掘り起こしている。シーフードカレーなどを発売すれば、受け入れられると考えている。

――現在、個人向けに販売しているのはどんな商品か

 ペットフード等を販売している。ただ、納入先は日系や欧米系の設備の整った販売店が大半だ。外資系のスーパーは自前で流通網を持っている ので安心して納入できる。流通・販売体制がしっかりしていることは重要で、北京では、日系コンビニエンスストアチェーンとおでんの具を共同開発して販売す るなど、新たな商品開発にも取り組んでいる。

――中国国内での販売はこれまで、業務用が中心だった

 現地の合弁会社が生産する魚のすり身、むきエビ、イカなどの魚原料で50億円程度を販売している。日本からの輸出は、干し貝柱、干しアワ ビ等の高級食材で20億円余りの売り上げがある。高級食材は日本製というだけでよく売れる。干し貝柱の場合、1キロあたり8000―10万円で販売してい るが、中国国内での小売価格はその2倍程度になっている。輸入手続きの関係で香港でしか卸していないが、大連・北京あたりでも日本産干し貝柱を見たことが ある。需要の大きさに驚いている。

 業務用が主体だった背景には、中国の一般の小売店との取引の難しさもある。経理がずさんなところも多く、売掛金の回収が思うように回収できない。

舟山興業の工場
――中国市場での販売目標は

 2007年度には、海外売り上げ目標1000億円のうち25%、250億円を中国で販売する計画だ。小売りを強化することで知名度を高め、業務用の売り上げも相乗効果で伸ばしていきたい。

 中国に進出したのは、1970年代半ば。当初は、東シナ海や黄海で捕獲された鮮魚の買い付けが主目的だった。1994年に、現地の国有漁 業会社、舟山第二海洋漁業公司と合弁会社、舟山興業を設立してから、加工基地の色彩を強め、今では商品を売る市場という位置付けになりつつある。

 ただ、中国国内の消費量の増加や近海の漁業資源の悪化から近年、鮮魚の調達が難しくなっている。ニュージーランドや北太平洋などで獲れた魚を中国に集中させて加工することで中国を含めた世界の需要に対応している。

(聞き手は村尾龍雄・弁護士法人キャスト糸賀代表)



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