2008年4月18日
2007年夏以降、タイを拠点とした日本人グループによる、大規模取引に見せかけた金品詐取の試みが、 全国各地の日本企業を標的に断続的に発生しています。当初は、在マレーシアの日系企業「三把(さんわ)トレーディング」社のタイ子会社を名乗り、「御社の HPを見た」などとして、輸出経験のない日本国内の食品、あるいは食品加工機械の製造・販売企業に接触を繰り返していました。しかし、2008年に入って からは、在タイの台湾系企業「サウス・シーズ・ヘルス・カンパニー・リミテッド」、「サウス・シーズ・ヘルス」社、あるいは韓国系企業「ベンタニ・ヘル ス・プロダクツ・PCL」、「ベンタニ」社をかたり、健康・医療・介護関連製品、あるいは環境関連部材の大型取引を持ちかけてくるようになりました。いず れも在タイ法人を名乗っていますが登記事実はなく、固定電話・FAX番号も架空など、実体が確認できない企業です。

接触してくる人物は日本人や日本語の流暢なアジア系外国人など複数存在しますが、商談を終始取り仕切るリーダー的人物は特定の日本人とみられま す。ただし、台湾系、韓国系企業を名乗り始めた2008年以降は、自身を「日本語の流暢な中国人、韓国人」と自己紹介しているようです。別の人物が最初に 電話連絡をした後、上記のリーダー的人物がメールや携帯電話を使って本格的な商談を開始します。この際、「サウス・シーズ・ヘルス」社、あるいは「ベンタ ニ」社の会社概要とともに、「商品売買基本契約書」の雛形が短期間のうちに提示されます。同時に、契約のためタイに渡航するよう要請されます。渡航前に は、現地の宿泊先・交通手段を手配するためとして、代金を前払いするよう求められることもあるほか、契約合意に達した場合には契約書の公証費用や印紙代の 振込みを求められることもあります。渡航中は、商談成立後、前述の印紙代や公証費用とともに、決済用銀行口座の開設手数料、弁護士雇用費用、大口ユーザー (例:大規模病院の院長や会社経営者など)への「お土産品」(携帯電話、アクセサリーなど)の購入など、様々な名目で前渡し金の支払いや現物購入を要請さ れます。手持ち資金が底をつくと、帰国後に同様の名目で送金を求めてきます。

ジェトロにはこれまで、同一グループが持ちかけたとみられる事案での相談が15件入っており、うち6件で合わせて500万円を超す被害(サンプル 詐取を含む)が発生している模様です。いずれも、先方の指示に従って資金を送金、あるいは手渡しながら、指定期日までに前払いされるはずの商品代金が入っ てこない、あるいは連絡が一方的に取れなくなったといった事態が生じています。契約どおり取引が実現し、代金が振り込まれ、商品を納入した事例は現時点で ありません。

類似した商談が心当たりのない人物から突然舞い込んできた際には、相手先企業の身元や商談・契約内容に疑義や不審な点はないかを慎重に確認することが必要です。確認にあたって必要であればお近くのジェトロ にご相談ください。また、一連の事実確認作業が終わるまで、相手の言うことをうのみにして渡航したり、資金を振り込んだりしないよう注意が必要です。本件ではまた、日本の外務省も2007年10月19日付の海外安全情報で「タイを舞台とする国際詐欺事件の多発 」と題して注意喚起を行っています。ご参照ください。

IT化社会は法人や個人が世界中にさらされる社会でもあります。国際的詐欺犯罪グループは日々、ITツールを駆使して私たち日本人を含む世界各国 の人々に様々な名目で接近し、狡知に長けた手口で資金や商品を詐取しようと試みます。「うまい話には落とし穴がある」ことを念頭に、その手口を知り、周囲 の方々や関係機関に事前に相談することが大切です。ジェトロでは近年の国際詐欺事案の手口も紹介していますので、「国際的詐欺事件について(注意喚起) 」もぜひご覧ください。

お問い合せ先
ジェトロ貿易投資相談課(東京)
TEL:03-3582-5171(午前9時~12時、午後1時~5時、土日・祝祭日・年末年始除く)
FAX:03-3582-5662
またはお近くのジェトロ まで
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送信日時:2007/10/19
情報種別:渡航情報(スポット)


タイ:タイを舞台とする国際的詐欺事件の多発
本情報は、海外に渡航・滞在される方が自分自身の判断で安全を確保するための参考情報です。本情報が発出されていないからといって、安全が保証されるというものではありません。
本情報は、法令上の強制力をもって、個人の渡航や旅行会社による主催旅行を禁止したり、退避を命令するものでもありません。
海外では「自分の身は自分で守る」との心構えをもって、渡航・滞在の目的に合わせた情報収集や安全対策に努めてください。
1.在タイ日本国大使館及びJETRO(日本貿易振興機構)によれば、タイ在
 住の輸入業者を装った者から日本国内の食品関連企業等に対し「インター
 ネットで御社の商品を見た」などと電話やインターネットなどで商談を持
 ちかけて接触し、通常の貿易取引を装いつつ、製品の大量発注を持ちかけ
 てタイに誘い出し、契約書作成のための印紙代、弁護士費用等で当座の資
 金が必要などと、前渡し金を要求する詐欺事件が多発しています。また、
 渡航に際して渡航先での交通手段や宿泊先を事前予約するとして、その費
 用を事前に振り込むよう求められることもあります。

2.現在、タイ及び日本国内で多数の被害が報告されているのは、「三把
 (さんわ)トレーディング」社と名乗る架空会社によるもので、2007年
 6月以降、判明しているだけで未遂を含め既に10件近い被害が報告されて
 います。また、「三把トレーディング」を名乗る会社以外にも、同種手口
 ・同一被疑者によると思われる詐欺事件が発生しています。

3.つきましては、このような会社から何らかの商談等を持ちかけられた場
 合には、詐欺の被害に遭わないよう、先方が言う「タイでの商習慣や法
 律」を鵜呑みにせず、先方と話を進める前に国際貿易の経験が豊富な方や
 在タイ日本国大使館、JETROへ御相談ください。

4.なお、同種詐欺事案等につきましては、以下のJETROホームページ等に
 も紹介されていますので御参照ください。
   http://www.jetro.go.jp/news/announcement/20070828028-news
   http://www.jetro.go.jp/contact/faq/419/index.html
   http://www.jetro.go.jp/tv/internet/20070809330.html


(問い合わせ先)
 ○外務省領事局海外邦人安全課(テロ・誘拐に関する問い合わせは除く)
  住所:東京都千代田区霞が関2-2-1
  電話:(代表)03-3580-3311(内線)5139
 ○外務省 海外安全ホームページ: http://www.anzen.mofa.go.jp/
 ○在タイ日本国大使館
  ホームページ:http://www.th.emb-japan.go.jp/
  電話: (66-2) 207-8502、696-3002(領事部邦人保護班)
  FAX : (66-2) 207-8511(領事部)
 ○在チェンマイ日本国総領事館
  電話: (66-53) 20-3367
  FAX : (66-53) 20-3373
 ○JETRO(日本貿易振興機構)
  ホームページ:http://www.jetro.go.jp/indexj.html
  電話:03-3582-5171(ジェトロ貿易投資相談センター(東京))
  FAX :03-3582-5662
 ○JETRO(日本貿易振興機構)バンコクセンター
  ホームページ:http://www.jetrobkk.or.th/
  電話: (66-2) 253-6441
  FAX : (66-2) 253-2020
別添資料
なし
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国際的詐欺事件について(注意喚起)

ある日突然、「まったく面識のない海外の人物(外国人、日本人)や法人」から、「緊急かつ極秘の取引」との名目で、「巨額の隠蔽資金や遺産の送金や商品の 大量注文」を持ちかけるメールやFAX、手紙が舞い込んできたことはないでしょうか。西アフリカ諸国を中心としたアフリカ地域、あるいは東南アジア諸国な どアジア地域を発信源とする国際的な犯罪グループによる詐欺勧誘かもしれませんので、十分な注意が必要です。

大規模な資金送金や商談をエサに前渡し金や商品を詐取する国際詐欺事件は、当初、アフリカ西部のナイジェリアを舞台に世界的広がりを見せました。このた め、同様の手口の犯行は、通称「419詐欺事件(ナイジェリア刑法419条に抵触する犯罪)」と呼ばれてきました。80年代に欧米諸国で顕在化し、80年 代後半には日本にも上陸した419事件は、その後、さらに世界的規模で広がりをみせ、被害者も資産家や法人関係者から、現在では各国一般市民に及んでいま す。アプローチ方法は以前の手紙やFAXから、近年は電子メールの利用が主流となり、アフリカ一円や欧州、アジア地域を中心に、世界各地から大量に勧誘 メールが届くなど、発信源も広域化しています。

各国政府は詐欺被害発生防止や犯行グループの取り締まりを強化し、ジェトロでも再三にわたって注意喚起を続けておりますが、ITツールの普及、人物往来や ビジネスのグローバル化が急速に進展する中、巧妙化、広域化する犯行グループの活動封じ込めには至っておりません。続発する被害の抑止はひとえに私たち一 人一人の「自己防衛」にかかっています。詐欺にかからないためには皆さまご自身の冷静な判断、毅然とした対応が欠かせません。

以下に、その代表的手口や関連するメディア報道事例をご案内します。不自然なビジネス・オファーが舞い込んだ際には、これらに該当しないかを十分に検証するとともに、疑問や不安があればお近くのジェトロ、あるいはジェトロ東京本部貿易投資相談センター貿易投資相談課(TEL:03-3582-5171)にお問い合わせください。

419詐欺事件の代表的ケース
  1. マネーロンダリング型 (前渡し金詐取)
    • 各国の政府・軍・公社の高官、元高官やその親族と名乗る人物が、秘密資金の海外送金のために、貴方の口座を貸してほしいと持ちかける。謝礼として、送金資金の一部を提供すると続く。
    • コンタクトの理由は、過去の先方国でのビジネス実績、自社を知る知人の紹介など。
    • 手数料等と称して、資金(1回につき数千~数万ドル)を先方の指定する口座に振り込むよう繰り返し指示され、数回~十数回振り込むと連絡を絶つ。
  2. 貿易取引型(商品/前渡し金詐取)
    • Webやダイレクトリーで会社概要や製品を見た、人づてに貴社の評判を聞いたなどとして接触し、通常の貿易取引を装いつつ多種多様な製品の大量発注を持ちかける。
    • 決 済手段としては、政府の為替規制を言い立て現金(電信為替)後払い、または先方国や欧米系の大手銀行の小切手を用いる。後者については商品発送前に輸出業 者に届くが、 商品発送後に銀行に持ち込むと、偽造・盗難小切手と判明、決済不能に。荷足の速い国際宅配便利用を条件に、その送り状(Airway Bill)コピーをFAXすれば24時間以内に電信為替送金するとし、実際には送金せずに商品を詐取する事例も増加している。
    • あるいは、大型商談であることをエサに、輸入手続や決済外貨の準備、契約書作成時の印紙代等で当座の資金が必要と、前渡し金を要求。先方指定口座に数回~十数回振り込むと連絡を絶つ。
    • 商談目的での渡航を申し出、推薦状を取得して日本に不正入国を図る事例もある。
  3. 貿易取引型(サンプル詐取)
    • 引き合いに際し、「大量注文を検討したいので」、「見本市に出品するため」、「政府の外貨割り当てを受けるため」などと称して、サンプルの送付を要求する。対象となる商材は小型の高額商品(高級家電等)が多い。
    • 自社へのコンタクトはWebやダイレクトリーを見た、人から紹介されたと説明。
    • 政府当局の為替規制を盾とした代金後払い、あるいは偽造・盗難小切手決済でサンプルを詐取する。
  4. 遺産相続型 (前渡し金詐取)
    • 先方国に在住していた現地有力者(時に日本人)が死亡し、死亡人の遺志により貴団体(NGO・学校・宗教団体等)や個人に相当額の遺産を相続したい、との旨の書簡が、先方国の相続人や代理人を名乗るものから届く。
    • 故人は自社・団体の関係者と懇意にしていた、信頼できるパートナーと日本の知人から紹介されたなどと語る。
    • 「手数料」や「税金」と称して、先方に資金を振り込ませ、その後連絡を絶つ。
  5. 政府調達型(前渡し金/商品詐取)
    • 先方国の官庁高官を装い、公的機関のレターヘッド入り書簡やFAX、メールで大量の製品納入の随意契約オファーが来る。 あるいは「入札」に勧誘してくる。
    • 接触理由は過去の先方国でのビジネス実績、自社を知る上司、同僚、コンサルタントの紹介、国際的な評価など。
    • 財源やスペック等を問い合わせると、かなり専門的かつ現実的な回答が寄せられる。 場合によっては、「入札」が行われる旨の「偽官報」まで送付されてくる。
    • 最終的には、高額な「入札手数料」や多数の名目での契約手続き料の振り込み、これらを持参しての現地入札会への参加(実際に偽入札会が開催された例も)を要求される。
    • 随意契約あるいは競争入札で落札し、政府(公的機関)調達であることを担保に、代金後払いとした商品の大量詐取も発生している。
  6. 不正取得財産返還型 (前渡し金詐取)
    • 官庁、議会、不正調査委員会などを装い、レターヘッド付の書簡やFAX、メールでお詫びがくる。内容は、前政権時代に発注した業務の代金が水増し請求されていた、あるいは過去の詐欺被害金を回収したなど。 後者は、被害者から資金を詐取した同一犯である可能性が高い。
    • 返還の事務手続のために指定の口座に各種名目での手数料や税金を振り込むよう要求する。
    • 本人証明や証言のために現地に来るように要請されることもある。 渡航した場合、現地で身ぐるみ略奪されたり身代金を要求されたりする事例もある。
  7. 黒紙幣<ブラック・マネー>型 (前渡し金詐取)
    • 自分は政府関係者、もしくは内戦等で死亡した某国有力者の亡命家族などと名乗り、多額の裏資金を極秘に持ち出したと近寄る。
    • 海外渡航時、あるいは日本国内で直接対面して話を持ちかけるパターンが多い。
    • 黒く塗りつぶされた「米ドル紙幣(黒紙幣)」が詰まっているというケースを見せる。
    • 任意の一枚を抜き出し、「特殊溶液」なる液体をかけて塗料を落とし、本物の紙幣であることを実演する。 最近は洗浄紙幣を市内で換金し信用させる手口が横行。過去は見せ金の大半が白紙であったが近年は精巧な偽札も多く、上記手口が可能。
    • 全ての紙幣の洗浄には大量の液体が必要として、購入資金を持参・振り込ませる。購入先は欧米諸国の現地(あるいは在日)大使館、欧米系技術者、諜報機関などを列挙。その「担当者」なる人物が現れることもある。数回の資金授受の後、連絡が途絶える。
    • 海外渡航時に、「黒紙幣」ではなく精巧な「偽紙幣」を見せ金とし、帰国後、その送金のための手数料や管轄官庁・機関への工作費、諸税の支払いを名目に前渡し金を指定口座に振り込ませる手口もある。
  8. インターネット宝くじ型(前渡し金詐取)
    • 欧米諸国の公認宝くじ機関などから、世界のインターネット利用者からの任意抽選で高額のくじに当選したとのメール通知が来る。
    • 返信すると、送金手続き料などの名目で、1回につき数百~数千ドルを先方の指定する口座に振り込むよう繰り返し指示され、最終的には連絡が取れなくなる。

関連情報
2007年8月4日 ビジネスアラカルト 貿易投資解説‐国際詐欺事件の手口と対策
その他各機関・メディアからの情報
外務省海外安全情報 HotWired 日本テレビ 特命リサーチ200X
参考資料
2007年10月30日
読売新聞 朝刊 「輸入契約詐欺 タイで多発」
2007年10月9日
日本経済新聞(中部版)朝刊 「中小企業狙い国際詐欺横行」
2007年9月22日号
週刊ダイヤモンド 「国際商取引を装う詐欺が続発 標的は不慣れな中小企業」
2007年9月4日
毎日新聞 朝刊 「419事件 国内被害5億円」
2007年5月10日
毎日新聞 大阪夕刊 「海外から『振り込め詐欺』」
2006年8月9日号
SAPIO 「『国際詐欺団』からの怪しい招待状」
2002年5月13日号
AERA 「ナイジェリア詐欺に騙されヨーロッパまで行った」
1999年11月16日
朝日新聞 ナイジェリア中央銀行広告
1999年9月29日
朝日新聞 東京朝刊 「口座貸してくれれば大金山分け 国際詐欺、世界中に手紙 邦人被害」 39頁
1999年6月23日
読売新聞 東京夕刊 「『419』国際詐欺が多発 南アの邦人拉致事件も関与? ナイジェリア人ら首謀」
1999年6月25日
読売新聞 東京夕刊 「419事件 日本あてにもファクス 秘密取引誘う内容 社員『関心持ち読んだ』」
1997年10月17日
週刊朝日 「ナイジェリア419国際詐欺団の手口」
1997年9月10日
朝日新聞 ナイジェリア中央銀行広告
1997年9月09日
エコノミスト 「ナイジェリア国際詐欺団事件」
1996年2月6日
エコノミスト 「忍び寄るナイジェリア国際詐欺団の魔手」
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